個人のアフィリエイター向けの節税記事。
「サイトに貼っている広告の名義を変更するだけで、20万円を節税できるんじゃ・・?」
と思ったので調べてみた。
その結果のメモ。
前提知識
まず前提知識。
会社員の場合、副業で20万円以上を稼ぐと、確定申告が必要になります。
逆に言えば、20万円以下だと確定申告は不要。
- 20万円以上なら、確定申告が必要
- 20万円以下なら、確定申告は不要
詳しくは以下ページを参照です。
これを理解していないと、この記事の内容が理解できないので、
先に理解してください。
この記事で言いたいこと
で、
この記事で言いたいのは、
この『20万円以下なら確定申告は不要になる』というメリットをうまく利用すれば
自サイトに貼っている「自分名義の広告」を「親族名義の広告」に張り替えるだけで、20万円を節税できるんじゃね?
ということ。
「何言ってんだコイツ」と思われそうなので、次の段落で例を出します。
例
例えば、
- 夫・・・専業アフィリエイター
- 妻・・・会社員
という夫婦2人がいたとする。
夫は、Aというホームページを所有しており、Aには「夫名義の広告」を貼っていて、その広告からの収入が20万円/月ある。
この場合、アフィリエイト収入は、
- 夫・・・240万円/年
- 妻・・・0円/年
ということになる。
そこで、Aに貼っている「夫名義の広告」を、1ヶ月間だけ「妻名義の広告」に張り替えるとする。
すると、
- 夫・・・220万円/年
- 妻・・・20万円/年
という風に、20万円を妻の収入として”移転”させることができる。
この場合、「20万円までなら確定申告しなくてOKだよ!」というルールによって、妻は20万円を非課税でゲットできる。
結果、この世帯全体で見ると「20万円を節税できた!やったー!」となる。
めでたしめでたし。
・・というわけで
この節税方法は、はたしてセーフなのか、アウトなのか。
国税庁に訊いてみた。
電話相談センターとの電話内容
以下、国税庁の電話相談センターの電話内容。
(見るのがメンドイ人は次の段落のまとめだけ見て下さい)
▼俺:
ホームページの広告収入についてお伺いしたいんですけど。
▼国税:
はいどうぞ。
▼俺:
(「↑の例で書いた内容は節税方法としてアリなのか?」という内容を話す)
▼国税:
おっしゃる通り、会社員で20万円以下の雑所得しかない場合、確定申告は不要です。
しかし、今回のケースの場合、「実質所得者課税の原則」に引っかかるかと思います。
▼俺:
「実質所得者課税の原則」って
「名義だけ貸してるような人には課税せず、実際に事業をしている人に課税するよ!」
みたいな原則のことですか?
▼国税:
そうです。
今回のようなケースの場合、「1ヶ月間だけ妻名義の広告に張り替える」というのは、客観的に見て
- 「本当に事業をしているのは妻なのか?」
- 「なんで1ヶ月だけ収入があるんだ?所得を移転させるためか?」
などと怪しまれる可能性が高いかと思います。
なので、税務調査に入られた際、「ホームページを実質的に運営しているのは夫だな!妻は名義を貸しているだけだな!」という風に解釈され、夫が課税対象になるかもしれません。
▼俺:
なるほど。
じゃあ、「1ヶ月間だけ妻名義の広告に張り替える」とせずに、「永遠に妻名義の広告に張り替える」とかだったら怪しまれずに済むんですか?
▼国税:
その場合は、怪しまれずに済むかもしれませんが、「実質所得者課税の原則」からするとアウトです。
なぜなら「実質所得者課税の原則」は、「誰が事業をしているか」が問題なのであって、名義などは関係ないからです。
▼俺:
なるほど。
じゃあ実際に、「妻にホームページの運営を任せる」という形にすれば、問題ないわけですか?
▼国税:
そうですね。
その場合は、とりあえずは問題ないかと思います。
▼俺:
わかりました。
ちなみになんですけど、「ホームページを実質的に運営しているのは夫」って税務署さんはどうやって見分けるんですか?
極端な話、「実質的に運営しているのは妻だよ!」と嘘をつけば、税務署さんは見分けようがなくないですか?
▼国税:
それは、聞き取り調査やいろいろな書類を見て、総合的に判断することになるかと思います。
▼俺:
”総合的に判断する”って具体的にどういうポイントで判断するんですか?
例えば
- ドメインの名義
- サーバーの名義
- 広告の名義
- 「パソコンにログインした日時」と「夫婦のアリバイ」
とかで判断するのですか?
▼国税:
それは私ども(オペレーター)では分かりかねます。
税務調査する者が総合的に判断します。
▼俺:
じゃあ、最寄りの税務署に行って「どういう風に判断するんですか?」と訊けば、教えてもらえるんですか?
▼国税:
税務署は、申告された内容で白黒を付けますので、相談の段階では判断できかねます。
▼俺:
それって、
「税務調査されて黒になるか白になるかは申告してからのお楽しみっ♪」
ってことですか?
▼国税:
極論を言えばそうなります。
規定に載っているような相談なら「それはOKです」などと言えるのですが、お客様の相談の場合、規定に「こうだよ」と載っていない事例なので、「申告されてから総合的に判断する」ということになってしまうのです。
なので、もしご自身で解決できないようなら、税理士などに相談されることをオススメします。
▼俺:
なるほど・・。
でも、ぶっちゃけ、さっきも言いましたけど「実質的に運営しているのは妻だよ!」と嘘をつけば、税務署さんは見分けようがないですよね?
「税務調査する者が総合的に判断します」とかマニュアル通りっぽい回答をされてましたけど、そんな細かい所まで調べられるわけないですよね・・?
調べれるにしても、時間とコストが掛かりすぎるだろうから、割に合わないですし。
▼国税:
まぁ・・・・・・・そうかもしれませんね(苦笑)
▼俺:
分かりましたw
ありがとうございました。
電話内容まとめ
てわけで、
「例で書いたような節税方法は可能なのか?」というのを税務署に訊いた結果は、
1.「1ヶ月間だけ妻名義の広告に張り替える」・・・怪しまれる可能性が高い
2.「永遠に妻名義の広告に張り替える」・・・怪しまれる可能性は低い
3.広告の名義を変える場合、ドメイン・サーバーなどの名義も同じように変えておいた方が安全かも・・?
という感じだった。
1.と2.については、広告の名義を変えるだけなら怪しまれる可能性はほぼ0だけど、「それが毎年1ヶ月間だけ!」となると「そりゃ怪しまれますわな」って話になるので、「永続的に名義を変えれば大丈夫だよね!」ってこと。
3.については、税務調査された際、「サイトを実質的に運営しているのは誰か?」を調べる際の判断できる材料としては、ドメインとサーバーの名義くらいしかないと思われる(?)ので、「これを変えておいたら一安心だよね」ってこと。
まぁ結局、「実質所得者課税の原則」という規定がネックになるよ!ということ。
ちなみに、他にも、例えばホームページAに
- 広告A・・・20万円/年(夫名義)
- 広告B・・・20万円/年(夫名義)
という感じで、2つの広告で売上がある場合に、
- 広告A・・・20万円/年(夫名義)
- 広告B・・・20万円/年(妻名義)
という風に広告の名義だけ変えるのも「実質所得者課税の原則」に引っかかるからダメ。
![]() | ![]() |
▲これはOK | ▲これはNG ただし、この場合でも、
と風な主張すれば通るかもしれない(?)。 |
まとめ
というわけでこの記事の本題。
「20万円を節税するためには結局どうするのがベストなの?」という点。
結論から言うと、
「年に20万円しか稼げないサイト」のドメイン・サーバー・広告の名義をそれぞれ妻名義に変える(永遠に)
というのがベストだと思われます。
それでも「もしバレたらどうするんだよ」と不安な人は、広告の名義だけでなく、実際にサイトの運営も妻に任せればOK。
そうすれば「実質所得者課税の原則」にも引っかからないので、完全合法。
ちなみに、この記事の方法を使えば、「人数 × 20万円」の節税ができちゃうので
例えば、会社員の友人を50人集めて、その50人に対して「広告の名義を使わせてくれ!」と頼めば、
50人 × 20万円 = 1,000万円
という感じで「1,000万円の節税ができた!やったー!」ということができちゃいますが
ただ、さすがにこのくらいの規模になると、”節税”ではなくて”脱税”と疑われても仕方ないと思うし、
- 友人の友人経由とかから「あいつ脱税してるよ」と税務署に密告されてバレる確率も高そうだし、
- 50人分のアカウントを管理するのとか面倒くさすぎるし、
- 金銭の授受で揉めそうだし、
という感じで色々と”ボロ”が出ると思うので「止めておいたほうが良いんじゃね」という気がします。
ただ、「現金を手渡しするようにすればバレないんじゃね?」って気もするので、「俺は何としても節税したいんじゃーー!」という人は「自己責任の範囲でやれば良いんじゃね」という気もします。
FAQ
疑問に思いそうなことをFAQ形式で書いておきます。
法人の場合はムリ?
Q.法人化している人は、この方法はできないの?
A.できない。
なぜなら法人の場合、帳簿で0円として評価したサイトだったとしても「譲渡や贈与する際は時価で取引しようね」ってことなってるから。
詳しくは次のページを見て下さい。
- 参考:資産の無償譲渡と無償譲受(外部サイト)


「青色事業専従者給与」じゃダメ?
Q.「青色事業専従者給与」じゃダメなの?
A.「青色事業専従者給与」は色々とデメリットがある↓。
- 「青色事業専従者給与」を受け取った人は、配偶者控除や扶養親族にはなれない
- 「青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族」でないと使えない
⇒別居している両親とかだと使えない
- 「年齢が15歳以上」でないと使えない
⇒同居している子供などには使えない
なので、この記事で紹介した方法のほうが自由度が高いです。
共働きじゃない場合は?
Q.専業アフィリエイター(夫)&専業主婦 のような場合ってどうなるの?
A.その場合は、専業主婦の基礎控除38万円分まで使えるので、
「年に38万円しか稼げないサイト」のドメイン・サーバー・広告の名義をそれぞれ妻名義に変える
みたいな感じにすれば良いと思います。
※ただし、専業主義(妻)がパートをしていない場合、給与所得控除の枠がフルで空いている状態なので、「青色事業専従者給与」も併用した方が得する。(配偶者控除を捨ててでも、そうしたほうが得する)
妻も青色(65)で申告すれば良いのでは?
Q.妻も青(65)で申告すれば、20万円と言わずに、85万円まで節税可能なのでは?
A.そうだと思う。
ただ、妻のアフィリエイト収入が「事業所得」として認められないと、65万円控除は受けれないので注意が必要。
所得税法56条に引っかるんじゃ?
Q.所得税法56条に引っかからないの?
A.事業主から経費を支払っているわけじゃなくて「事業(サイト)自体をそのまま無償で譲渡しているだけ」という感じなので、引っかからないと思います。
というか、引っかかりようがないと思います。
おわり
(この記事への指摘、お待ちしています!)
追記(2017年11月23日)
詳しい人からツイッターで指摘を頂いたので、掲載しておきます。
まぁアウトだと思うけどなぁ。 https://t.co/nBNuIaXnij
— かぐらー (@af_bocchi) November 22, 2017
アウトの要素あるの・・?
— とんまあ@アフィカス (@tonnmaa) November 22, 2017
同業かつ生計を一にしている点。夫婦個々に事業主で別業種なら経費按分くらいが問題なんだけど、夫婦でアフィリエイターじゃ合算して専従者給与出せよって話。
— かぐらー (@af_bocchi) 2017年11月22日
例えば「夫婦で農家なら、片方が事業主となって専従者給与を払うのが普通だろ。両方が事業主を気取ってんじゃねえ」みたいな話しですかね・・
確かにそんな気がしますけど、この場合、片方の手伝いをしてる訳じゃなく、それぞれ独立してるので専従者給与はおかしいのでは?という気もするのですが・・ https://t.co/7z5GVUuEMr
— とんまあ@アフィカス (@tonnmaa) November 22, 2017
別居で別々なら言い訳できる。これは単に事業分けただけだからね。まぁ、金額的に来る可能性は低いけど、来たら説明はきついよ。
— かぐらー (@af_bocchi) 2017年11月22日
「同一生計の夫婦が一つの商売を別々に申告なんて、ただの税逃れだろ」って思われるってことですよね・・
「この売上はAサイトからで、Aサイトは妻のものです。ほらドメインの名義とかも妻のでしょ?」みたいな説明をしても理解してもらえないんですかねー・・
— とんまあ@アフィカス (@tonnmaa) 2017年11月22日
僕は行けると思ったんですが、結構危ないかもしれないらしいです。
まぁ詳しくは、最寄りの税務署にでも相談してくだされ。
何かあっても僕に責任は取れないので。
ちなみに僕は、結婚していないし、友達も0人なので、この方法は使っていません。
というか使えません。哀
おわり
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