事業による収入を
- 事業所得
- 雑所得
で申告するメリット・デメリットについてまとめました。
事業所得・雑所得で申告するメリット・デメリット
メリット・デメリットは、次の表の通り。
事業所得 | 雑所得 | ||
---|---|---|---|
青色申告の メリット | 10万 or 65万控除が使える? | ○ | ✕ |
損失の繰越ができる?※1 | ○ | ✕ | |
青色専従者給与が使える? | ○ | ✕ | |
「30万円未満の少額減価償却資産の特例」が使える? | ○ | ✕ | |
他の所得(給与所得など)と損益通算できる?※2 | ○ | ✕ (ただし、雑所得同士は損益通算) | |
事業税がかからない? | ✕ | ○ | |
20万円以下なら申告しなくていい? | ✕ | ○ |
※1:「損失の繰越」というのは、例えば、2016年に100万円の赤字、2017年に100万円の黒字だった場合、「損失を相殺して利益0円=税金0円ってことでいいよ!」みたいにできる制度のこと
※2:「損益通算」というのは、例えば、事業所得で100万円の赤字、給与所得で100万円の黒字だった場合、「損失を相殺して利益0円=税金0円ってことでいいよ!」みたいにできる制度のこと
どっちが良いのか?
さっきの表だけ見ると「事業所得しかあり得ないでしょ!」と思うかもだけど
場合によっては「あえて雑所得にする」ことで、得することもあるので、それについて書きます。
「事業所得」を選んだ方が得なケース
ほとんどの人は、「事業所得」を選んだほうが得します。
具体的には
- 10万 or 65万控除でいくら得するのか?
- 損失の繰越でいくら得するのか?
- 「青色専従者給与」を支払うといくら得するのか?
- 「30万円未満の少額減価償却資産の特例」を使うといくら得するのか?
- 損益通算するといくら得するのか?
というのを総合的に見て、「雑所得を選ぶより得するな!」という人は、「事業所得」を選んだ方が得します。
「雑所得」を選んだ方が得なケース
源泉徴収されている会社員の場合、「雑所得が20万円以下なら申告しなくていいよ」ってことになっています。
なので、会社員の人で「副業で20万円稼いだ!」みたいな人は、雑所得を選ぶことで申告する必要がなくなるので、「雑所得」を選んだ方がいいです。
あとは、所得が1,200万円を超えているような人も、「雑所得」を選んだ方が得します。
なぜなら、
「青色の控除65万円によって得する金額」よりも
「事業税を払わないことによって得する金額」の方が大きいから。
なので、あえて「雑所得」を選んだ方が得します。
実際に計算すると、
■青色の控除65万円によって得する金額(所得1,200万円での税率で計算)
- 所得税:65万円×33%≒21.5万円
- 住民税:65万円×10%≒6.5万円
合計:28万円
■事業税を払わないことによって得する金額
- 事業税:(1,200万円ー290万円)×5%≒45.5万円
という感じになり、「事業税を払わないことによって得する金額の方が大きいよね」となるわけです。
「65万円控除で国保料も節税できるんじゃ?」と思うかもだけど、所得1,200万円レベルだと、65万円控除したとしても上限金額から1円も下がらない。なので65万円控除しても節税できるのが「所得税」と「住民税」しかない。
また、「所得1,200万円と言わずに、所得800万円レベルでも、事業税を払わないことによって得する金額の方が大きいんじゃ?」と思うかもだけど、事業税は次年度で「租税公課」として経費計上できるから、次年度分の節税額を考慮すると、所得1,200万円レベルにならないと逆に損する。
なので、所得1,200万円レベルになると、あえて「雑所得」を選択した方が税金を安くできるという話。
ただ、この方法を割とリスクが高いから、あまりオススメじゃありません。
(ここに書いたらすごく長くなってしまうので、別記事にまとめました↓。)
まとめ
1.ほとんどの事業者は「事業所得」を選んだ方が得する。
2.所得が1,200万円を超えているような人は、あえて「雑所得」を選んで、事業税を回避した方が得するかも
(でも、税務署から「こいつ怪しいな」と思われる可能性が上がるし、「雑所得」として認められないケースも稀にあるし、「雑所得」として申告しても事業税の対象になるかもしれないしで、リスクが大きい。)
おわり
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